じーじとマゴと俺

 
12月25日。それが何を意味するのか知らない人はいないだろう、お祭り好きとあればなおさら!
さてここにいるのはお祭り好きでかつ寂しがりやのジョセフ・ジョースター。本来なら結構な年齢だが今は18歳ほどまでに若返っている。波紋の全盛期といったところだ。
隣で眉間にしわをよせ、幼い子供らしからぬポーズをとっているのはその孫、空条承太郎。こちらも本来なら青年ほどだが、今は7歳くらいと言ったところか。
その様子を後ろでオロオロと見守っているのがジョセフの息子、東方仗助。この状況に慣れていない、むしろ初めて見たといったほうが正しい。
「え、え、どなた様?なんスかこれ、え?」
「落ち着け仗助」
いつも承太郎が被っている白の帽子を被った子供にそういわれてもさらに混乱するだけ、というかこの子のほうが冷静すぎてどうなの俺。
「帽子ブカブカじゃないスか、てかなんで承太郎さんの帽子被ってんだろ…」
抱き上げてじっと見つめること数分。持ち上げられたままの子供の視線がみるみるうちに、こう、きつくなっていくのがわかる。
そのまなざしには見覚えがある。いやでも似ているだけで違うような、いやいやまさか、まさかまさか。夢じゃないでしょね。
「…じょうたろうさん?」
「遅い」
手足をじたばたと動かすもののさっぱり俺まで届くわけはなく、むしろこうなんというかカワイイなと和んでしまう。
「可愛いだろー、俺の孫!で、俺はお前の父ちゃんね」
「はあ!?じじい!?」
「そっそー、理解が早いねーいいこいいこ」
まあお前の頭崩すと怒られるからなでないけどー、といいながら薄着の青年(といっても俺よりちょっと年上くらい)は部屋の中をぱたぱた忙しく走り回る。
何に奔走しているのか。そう、繰り返すが今日はクリスマス。そしてここは承太郎さん(が借りているホテル)の部屋。散らばるレポート用紙、つみあがる本。
「承太郎っ!じーじは悲しいッ!」
「どこがじーじだクソジジイ」
俺に抱っこされたまま承太郎さんは厳しい目をジョースターさんに向ける。この場合なんと呼んでいいやら。いやとにかく俺の親父ことジョセフはつみあがった本をせっせと片付けている。
「いいだろぉ〜たまにはこう、無駄遣いしてみるのも!」
「…無駄遣い?」
多分、スタンドが関係していることは理解した。でも、無駄遣いがどうのこうのとなると想像力の範囲外だ。
承太郎さんをじっと見つめてみると、帽子を深く被ってごまかされた。反射的に唇を尖らせる。
「言うな、もう、面倒くさい…あとすまないが、下ろしてくれ」
「ええ…」
渋ると承太郎さんは俺の腕を思いっきりつねる。小さくでも大人顔負けのパワーに俺敗北。承太郎さんは容赦ない。
「じじいさっさと戻せ」
「いやーん」
「やーんじゃねえ!」
鬼気迫る勢いの承太郎さんと、飄々とツリーを組み立てるジジイ。いやなんとも妙な組み合わせ。思わず見入ってしまうくらい。
「見世物じゃねーぞ仗助!」
腕まくりをしてオラオラの体勢に入った承太郎さんを迷わず抱っこ。目をまん丸にした承太郎さんはぶかぶかの帽子がずれてまたじたばたと暴れ始める。
見た目も幼いけど、精神的にも幼くなるもかもしれない。こんなに過激な承太郎さんなんてめったに見れたもんじゃない。
「じーさん」
「なあにィ?」
「グッジョブっす」
「だあろぉ〜!!」
このバカ親子、とつぶやく承太郎さんを肩に乗せ、ツリーの組み立てに参加することにした。
星は承太郎さんがつけていいですよ、って言ったら結構ノリノリだったことはしばらく話のタネにしてやろうと思う。
…いや、オラオラされそうになったら逃げるけど。

-----------------
仗助がメインになってしまった。この親子に振り回される承太郎さんって結構好きです。