04.inguietude/不安

 
今日はいつもより、花京院がやさしい気がする。いつもやさしくない、というわけじゃない。決して。
年下のこの男は、俺に対して少しも遠慮をしないところがある。そこが、対等のようで好きなのだが。
だけど、今日はいつにもまして心遣いがあるというか、受け入れてもらっている。
何十分も遅刻もしたし、彼のことを放って寝こけていたのに。それに関しては、本当に悪いと思ってはいるし、口に出してしっかり謝ったけれど。
この間あったのは二週間ちょっと前で、しばらく間があった。寂しかった?とか、そういうのとも違うはずだ。
その日のことを思い出すと、意識せずとも顔に火がついたのかと思うくらい熱が上る。いわゆる、初めて体を重ねた日であって、しばらく本当に体がつらかった。
それにかぶさるように花京院はレポートだプレゼンだと忙しくなったから、無理に動き回る姿は見せないで済んだが今日も気にしているのだろうか?
しかし、一応肌が白い部類に入るせいか一度赤にそまると色がひくまでしばらくかかる。
先を歩く花京院にはわからないだろうから、その部分には安心できる。からかわれても仕方ないくらい、熱い。
マフラーを巻きなおして、なんとか隠せないか格闘してみるもののそれは無理だった。
ぐったりする俺の髪を指ですいたりだとか、いつもと違う切迫した声音は耳に焼き付いて離れない。
ああもう、だめだ!余計なことを考えるのはやめよう。首を振って、思考を切り替える。
「花京院っ!」
後ろから飛びついて、今度こそ怒られるかと伺ってみるもののゆっくり振り返る花京院は少し困ったように笑うだけだ。
「ポルナレフ、重いよ!君太ったんじゃないか」
「失礼だなぁ〜お前ぇー!!」
やっぱり、怒らない。いつもと違う反応というのは、ここまで人を不安にさせるのだと初めて知った。

07/11/25