ほんのり

 
「兄貴ー、兄貴ー…あーにーきー」
「うるさいッ一回でわかる!」
ぎらり、とにらまれるとつい黙り込んでしまう。だって、そのまま続けると兄貴ぶん殴ってくるし。学習したなとか言われるけど、これは学習ってより本能じゃねーかなとか思う。
「俺さあ」
「長いか、その話」
ちょっと待てと遮って兄貴は俺の答えを伺う。兄貴の手元をのぞくと、どうもバッドカンパニーに整列を教え込んでたらしく。
兄貴はきっちりしてるから、自分のスタンドもいつでも自分の思い通りに動かせるようにいろいろ教え込んでいる。
俺のは、ほとんど自分の思うとおりに動くから問題ないけど兄貴のは数が多いから余計大変なんだろう。もし俺のスタンドがあんなだったら使いこなせないだろうな。
「あー…そんなにかかんない、と思う」
「はっきりしろ」
「かかりません」
集中してるときに邪魔するなって何回言えばわかるんだ、とぶつぶつ文句をいいながらも俺の話を聞く準備はしてくれている。
バッドカンパニーを一回引っ込めて、おそらく作戦が書いてある紙を丁寧にたたんでしまう。またあとで使うんだから出しておけばいいのに、几帳面だから。
「兄貴、好きだ!」
兄貴は3秒くらい止まって、くるーりと俺の方を頭のてっぺんからつま先まで見て、ぽかんと口を開けた。あ、なんかまずいかな。
「おしまい、邪魔してごめん」
「お、おう?あ?終わり?」
兄貴の手からするっと逃げた紙を拾って、返す。それだけだけど、って返したらさっきより兄貴は早くくるっと背中を見せた。
「兄貴?」
「お前って…」
はあ、とため息をつく兄貴の耳はほんのり赤くなっているような気がした。
 

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ここは億形億だよなぁと思いながら…!なんていうか億がワンコさん。
あにきあにきあにき!きいて!かまって!!!みたいな。
兄貴はあーはい、そー。みたいな…。