お近付き。
※承子さんと花京院は同学年同クラス
※ポルさんは外国語講師
うちの学年には一人、風変わりな子がいる。どう変わってるかといわれると、一から十まで教えないといけない。
同じクラスの僕がわかることといえば、どうやら彼女は大勢でいるのがあまり得意ではないらしい。けど、とても美人なので彼女の周りに人は耐えない。
毎日毎日下駄箱からラブレターの山、放課後は三歩歩くたびに告白合戦。たまに、鉄拳制裁しているのを見かける。
その華麗な動きは大変美しいのに、制裁された側は立ち上がれないほどのダメージを受ける。三ヶ月ほどでようやく落ち着いた。
花京院と、空条で出席番号が前後のせいかよく一緒になる。いつも被っている帽子をじっと見つめ続けていたらじっと視線を返された。
特に仲がいいわけじゃないけど、よそよそしいというわけじゃない。でも、クラスの中では彼女に一番近いのは僕だろう。
昼休み、前の授業の片付けを押し付けられてなかなか解放されなかった。やっと開放されたころには、昼休みは半分くらい終わっていて。
しかもその片付けは、旧校舎まで資料を運ぶというなかなか面倒なもので多少疲れた。確か6時間目は体育だった気がする。げんなりした。
「花京院ッ!上、上ーっ!あぶないよー!!」
突然呼ばれて驚いて振り返ると、頭に衝撃。そのままてん、てんと何かが弾む音がしてしばらく静止。頭がじんじんと痛む。
「…危ないっていったじゃない」
「普通はどいて、とか言うと思います」
駆け寄ってきてたんこぶは出来てないな、んて満足げに笑うのは講師のポルナレフ。本名は可愛いと自分で言う。精神年齢が僕ら同じくらい、もしくはそれ以下。
ひどいいいようだけど、親しみやすくて面白いし美人だと好評だ。僕はやたらかまわれる理由がわからないけれど。
「ごめんごめん、悪気はなかった、多分」
「多分?」
眉間にしわを寄せて、不機嫌そうな表情をしてみせるとぱたぱたと両手を振る。こういうしぐさがなんだか子供っぽい。
「ない!…ボール、取ってきて」
「やですよ、なんで僕が」
「だって校舎裏、くもの巣だらけで…」
つけたし。美人で、好評だけどこの先生は髪をちょっと逆立たせている。ちょっと。…ほんのちょっと。
毎朝ばっちりセットしてくる髪がくもの巣だらけになるのはさすがに可哀想に思えて、仕方なく校舎裏に行くことにした。
「ボール…って、どれだろう…」
校舎裏には恐らく同じ理由で回収されなかったであろうボールたちが転がっていた。
サッカーボールはわかる。バレーボールも、まあわかる。バスケットボールはいかがなものか。グラウンドでやったら小石がはねるだろうに。
テニスボールもいくつか、卓球のピンポンもどこから飛んできたのやら。頭にぶつかっただけで、使っていたボールがどれなのかがわからない。
「…花京院、」
「うわっ!」
校舎の影から呼びかけられて、飛び退る。なんだか今日はよく脅かされる日だ。帰り道はカラスに追いかけられるかもしれない。
何をそんなに驚いているのかとでもいいたそうにそこに立っていたのは見慣れた空条さんで、手にはハンドボールを握っている。
「さっき、あっちから転がってきたやつ」
「え?えーと」
「探してるんじゃないの」
片手に分厚い本を抱えているの。タイトルを見ると、海関係の本のようだ。
「…空条さん、海好きなの?」
はっとして抱えている本を隠すように背中に回し、ボールを勢いよく投げつけると空条さんは早足でその場を去っていった。
一瞬にらみつけられた目の色が深い緑色だということに気づく。また、なんとなく近づけたような気がしてボールがぶつけられた頭をさする。さっきはなかったたんこぶが出来ていた。
※ポルさんは外国語講師
うちの学年には一人、風変わりな子がいる。どう変わってるかといわれると、一から十まで教えないといけない。
同じクラスの僕がわかることといえば、どうやら彼女は大勢でいるのがあまり得意ではないらしい。けど、とても美人なので彼女の周りに人は耐えない。
毎日毎日下駄箱からラブレターの山、放課後は三歩歩くたびに告白合戦。たまに、鉄拳制裁しているのを見かける。
その華麗な動きは大変美しいのに、制裁された側は立ち上がれないほどのダメージを受ける。三ヶ月ほどでようやく落ち着いた。
花京院と、空条で出席番号が前後のせいかよく一緒になる。いつも被っている帽子をじっと見つめ続けていたらじっと視線を返された。
特に仲がいいわけじゃないけど、よそよそしいというわけじゃない。でも、クラスの中では彼女に一番近いのは僕だろう。
昼休み、前の授業の片付けを押し付けられてなかなか解放されなかった。やっと開放されたころには、昼休みは半分くらい終わっていて。
しかもその片付けは、旧校舎まで資料を運ぶというなかなか面倒なもので多少疲れた。確か6時間目は体育だった気がする。げんなりした。
「花京院ッ!上、上ーっ!あぶないよー!!」
突然呼ばれて驚いて振り返ると、頭に衝撃。そのままてん、てんと何かが弾む音がしてしばらく静止。頭がじんじんと痛む。
「…危ないっていったじゃない」
「普通はどいて、とか言うと思います」
駆け寄ってきてたんこぶは出来てないな、んて満足げに笑うのは講師のポルナレフ。本名は可愛いと自分で言う。精神年齢が僕ら同じくらい、もしくはそれ以下。
ひどいいいようだけど、親しみやすくて面白いし美人だと好評だ。僕はやたらかまわれる理由がわからないけれど。
「ごめんごめん、悪気はなかった、多分」
「多分?」
眉間にしわを寄せて、不機嫌そうな表情をしてみせるとぱたぱたと両手を振る。こういうしぐさがなんだか子供っぽい。
「ない!…ボール、取ってきて」
「やですよ、なんで僕が」
「だって校舎裏、くもの巣だらけで…」
つけたし。美人で、好評だけどこの先生は髪をちょっと逆立たせている。ちょっと。…ほんのちょっと。
毎朝ばっちりセットしてくる髪がくもの巣だらけになるのはさすがに可哀想に思えて、仕方なく校舎裏に行くことにした。
「ボール…って、どれだろう…」
校舎裏には恐らく同じ理由で回収されなかったであろうボールたちが転がっていた。
サッカーボールはわかる。バレーボールも、まあわかる。バスケットボールはいかがなものか。グラウンドでやったら小石がはねるだろうに。
テニスボールもいくつか、卓球のピンポンもどこから飛んできたのやら。頭にぶつかっただけで、使っていたボールがどれなのかがわからない。
「…花京院、」
「うわっ!」
校舎の影から呼びかけられて、飛び退る。なんだか今日はよく脅かされる日だ。帰り道はカラスに追いかけられるかもしれない。
何をそんなに驚いているのかとでもいいたそうにそこに立っていたのは見慣れた空条さんで、手にはハンドボールを握っている。
「さっき、あっちから転がってきたやつ」
「え?えーと」
「探してるんじゃないの」
片手に分厚い本を抱えているの。タイトルを見ると、海関係の本のようだ。
「…空条さん、海好きなの?」
はっとして抱えている本を隠すように背中に回し、ボールを勢いよく投げつけると空条さんは早足でその場を去っていった。
一瞬にらみつけられた目の色が深い緑色だということに気づく。また、なんとなく近づけたような気がしてボールがぶつけられた頭をさする。さっきはなかったたんこぶが出来ていた。