おそろい
僕の隣の空条さんは、不思議な雰囲気の人であんまりクラスの人と馴染んでいるようには見えない。
二年連続で同じクラスで、出席番号も前後とあって僕はほかの人たちより仲が良い自信がある。
たまに、ごくたまにだけど空条さんが持ってる小物が見えたりとかするとなんとなくほっこりとした気持ちになる。
ただお弁当の包みにイルカがプリントしてあったりとか、それくらいなんだけれど。
英語の授業が終わった後、いつもどおりディオ先生にそうとういじめられた空条さんはぐったりと机の上に伏せている。
何が面白いのか、明らかに僕たちじゃ解けそうにないような問題を空条さんに当てるのがお好きらしい。
それを平気な顔でといてみせるときもあるけれど、たまに苦戦しているのか悔しそうにわかりません、というのを聞いたときのあの先生の笑顔ったらない。
「空条さん、大丈夫かい?」
「大丈夫だったらこんな風にならない…!」
がば、と急に起き上がったせいでばらばらと机の上の筆記用具が床に落ちてしまった。
「…やれやれだわ」
「はい…あれ、このシャーペン僕も持ってるよ」
クリアーな緑が綺麗なシャーペン。最近売り出したシリーズで、緑はなかなか人気がないのか仕入れの数も少ない。
だから持っている人のほうが少ないはずなのだけど、まさかこんなに身近で使ってる人がいるとは思わなかった。
「綺麗な緑よね」
「うん、僕こういう色好きなんだ」
なんとなく、自分が好きな色と同じものを持ってる人がいると顔が緩む。同じものがすき、というだけなんだけれどそれってうれしいことじゃないだろうか。
空条さんはへえ、と一度うなずいただけでそのシャーペンを受け取るとほこりをはらって大事に筆箱にしまった。
「前から聞こうと思ってたんだけど…」
あれ、終わりじゃないの?とばかりに目を丸くして再び振り向く空条さんに苦笑する。あまり会話をしてくれないのは慣れているけれど。
「空条さんって、星が好き?」
空の星じゃなくても星型とか…とか濁して聞いてみると、空条さんはきょろきょろと周りを見渡したあとできっと目じりを吊り上げる。
「…なんでわかったの?」
「ハンカチとか…」
毎日見てるわけじゃあないんだけど、そのハンカチを持ってきている日の空条さんはいつもより機嫌が良いというのに気づいたのは最近。
ぽ、と音が出るくらい顔をほんのり赤くして空条さんは僕をさらににらむ。照れ隠しかな。
「……秘密よ、特にあのディオとかには」
「いわないよー、それ僕も昔持ってたなって…」
似たような柄のだけど、多分同じだと思うんだ。適当なことをいいながら笑うと、空条さんは至極まじめに僕を見つめていた。
「そうなの?」
「…う、うん」
「…お揃いねって思っただけ」
ふかい意味はないのよ、と付け足して空条さんは席を立つ。ポケットの端から見慣れたハンカチのすそがのぞいていた。
二年連続で同じクラスで、出席番号も前後とあって僕はほかの人たちより仲が良い自信がある。
たまに、ごくたまにだけど空条さんが持ってる小物が見えたりとかするとなんとなくほっこりとした気持ちになる。
ただお弁当の包みにイルカがプリントしてあったりとか、それくらいなんだけれど。
英語の授業が終わった後、いつもどおりディオ先生にそうとういじめられた空条さんはぐったりと机の上に伏せている。
何が面白いのか、明らかに僕たちじゃ解けそうにないような問題を空条さんに当てるのがお好きらしい。
それを平気な顔でといてみせるときもあるけれど、たまに苦戦しているのか悔しそうにわかりません、というのを聞いたときのあの先生の笑顔ったらない。
「空条さん、大丈夫かい?」
「大丈夫だったらこんな風にならない…!」
がば、と急に起き上がったせいでばらばらと机の上の筆記用具が床に落ちてしまった。
「…やれやれだわ」
「はい…あれ、このシャーペン僕も持ってるよ」
クリアーな緑が綺麗なシャーペン。最近売り出したシリーズで、緑はなかなか人気がないのか仕入れの数も少ない。
だから持っている人のほうが少ないはずなのだけど、まさかこんなに身近で使ってる人がいるとは思わなかった。
「綺麗な緑よね」
「うん、僕こういう色好きなんだ」
なんとなく、自分が好きな色と同じものを持ってる人がいると顔が緩む。同じものがすき、というだけなんだけれどそれってうれしいことじゃないだろうか。
空条さんはへえ、と一度うなずいただけでそのシャーペンを受け取るとほこりをはらって大事に筆箱にしまった。
「前から聞こうと思ってたんだけど…」
あれ、終わりじゃないの?とばかりに目を丸くして再び振り向く空条さんに苦笑する。あまり会話をしてくれないのは慣れているけれど。
「空条さんって、星が好き?」
空の星じゃなくても星型とか…とか濁して聞いてみると、空条さんはきょろきょろと周りを見渡したあとできっと目じりを吊り上げる。
「…なんでわかったの?」
「ハンカチとか…」
毎日見てるわけじゃあないんだけど、そのハンカチを持ってきている日の空条さんはいつもより機嫌が良いというのに気づいたのは最近。
ぽ、と音が出るくらい顔をほんのり赤くして空条さんは僕をさらににらむ。照れ隠しかな。
「……秘密よ、特にあのディオとかには」
「いわないよー、それ僕も昔持ってたなって…」
似たような柄のだけど、多分同じだと思うんだ。適当なことをいいながら笑うと、空条さんは至極まじめに僕を見つめていた。
「そうなの?」
「…う、うん」
「…お揃いねって思っただけ」
ふかい意味はないのよ、と付け足して空条さんは席を立つ。ポケットの端から見慣れたハンカチのすそがのぞいていた。
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お揃い〜ね私〜たち〜これでお揃いね〜あぁ幸せ〜♪ではありません
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