Trans/01
その日、学校内はざわざわと騒がしかった。高文連に参加して、帰ってきた翌日のことだ。
「花京院さん!探しましたよ〜、ここにいたんですね」
「康一くん、久しぶりだね!ぼくに何か用事かい?」
「大変なんですよぉ、敵スタンドが…その…」
スタンド、という何も知らない人には耳慣れない言葉を聞いて僕は驚く。
ここ最近、敵―DIO率いる、引き抜き軍のこと。うちの学校にいる優秀な人たちを奪おうと必死だ―は現れなかったのに。
「見てもらったほうが早いです!」
康一くんはうまく説明できないのがもどかしいらしく、僕の腕をぐいぐい引いて歩いていく。
ついた場所は、滅多に使われない離れた棟にある多目的ホール。中からはひそひそと話声が聞こえるから、人がいることは確かだ。
「見ても驚かないで下さいよ」
康一くんはそう前置きして、扉を開けた。中には数人の女性がいる。
「花京院さん!」
中から手を振って呼んでいるのは、ジョルノだ。彼には珍しく困った顔をしている。
彼はDIOと親類らしいが、DIOを好きではないらしくわざわざこっちの学校に編入までしてきたつわものだ。
「花京院!」
続けて、満面の笑みで手を振っているのは見覚えがない人だ。銀の髪を逆立てているあたり、すこしポルナレフに似ている。
というかまるっきり同じ髪型だ。あんな変なふうに髪をセットするのはポルナレフだけだと思っていたが変わった人はどこにでもいるものだ。
「無視すんなよッ!おれだよ、おれ!」
「…そういわれましても」
びしっと自分を指差して、彼女は少し眉間に皺を寄せる。じりじりと近寄ってきて、ぎらんと瞳を光らせながらゆっくり言う。
「誰かに似てるとおもわねぇのかぁ?」
よく見れば、纏う衣服も彼のそれと似ている。さらに、耳から下がるのは特殊な形のピアス。
もともとはひとつのハートを半分に割って、加工したもの。これは彼しか持っていない特別なものだ。
「まさか…もしかして…ポルナレフなのか?!」
「ブラボー!その通りだ、花京院!」
にわかには信じがたい事態だ。でもいつもの癖で差し出した両手には、彼女の両手がパシンと叩きつけられた。
反射的に僕もやり返して、ぐっと指をおしつけあう。満足したのか、今度は柔らかく笑った。
そこにいるのは、何となく友人たちの面影を残した女性たちばかりだ。そして一様に苦笑している。
おなじみの派手な学ランの袖を捲って苦笑しているのは仗助で、その隣で落ち着かないとばかりに髪を触っているのが億泰。
不機嫌そうに長い足を持て余しているのはアバッキオで、お腹が冷えるといけないから!とジョルノに心配されているのはミスタだろうか。
そして、彼女らの中心で腕を組んで仁王立ちし、僕と視線をあわせようとしないのは。
「嘘だろ、承太郎?」
「……やれやれ、だ」
たっぷり沈黙を挟んで、承太郎はいつものように帽子のつばをきゅっと握った。
「花京院さん!探しましたよ〜、ここにいたんですね」
「康一くん、久しぶりだね!ぼくに何か用事かい?」
「大変なんですよぉ、敵スタンドが…その…」
スタンド、という何も知らない人には耳慣れない言葉を聞いて僕は驚く。
ここ最近、敵―DIO率いる、引き抜き軍のこと。うちの学校にいる優秀な人たちを奪おうと必死だ―は現れなかったのに。
「見てもらったほうが早いです!」
康一くんはうまく説明できないのがもどかしいらしく、僕の腕をぐいぐい引いて歩いていく。
ついた場所は、滅多に使われない離れた棟にある多目的ホール。中からはひそひそと話声が聞こえるから、人がいることは確かだ。
「見ても驚かないで下さいよ」
康一くんはそう前置きして、扉を開けた。中には数人の女性がいる。
「花京院さん!」
中から手を振って呼んでいるのは、ジョルノだ。彼には珍しく困った顔をしている。
彼はDIOと親類らしいが、DIOを好きではないらしくわざわざこっちの学校に編入までしてきたつわものだ。
「花京院!」
続けて、満面の笑みで手を振っているのは見覚えがない人だ。銀の髪を逆立てているあたり、すこしポルナレフに似ている。
というかまるっきり同じ髪型だ。あんな変なふうに髪をセットするのはポルナレフだけだと思っていたが変わった人はどこにでもいるものだ。
「無視すんなよッ!おれだよ、おれ!」
「…そういわれましても」
びしっと自分を指差して、彼女は少し眉間に皺を寄せる。じりじりと近寄ってきて、ぎらんと瞳を光らせながらゆっくり言う。
「誰かに似てるとおもわねぇのかぁ?」
よく見れば、纏う衣服も彼のそれと似ている。さらに、耳から下がるのは特殊な形のピアス。
もともとはひとつのハートを半分に割って、加工したもの。これは彼しか持っていない特別なものだ。
「まさか…もしかして…ポルナレフなのか?!」
「ブラボー!その通りだ、花京院!」
にわかには信じがたい事態だ。でもいつもの癖で差し出した両手には、彼女の両手がパシンと叩きつけられた。
反射的に僕もやり返して、ぐっと指をおしつけあう。満足したのか、今度は柔らかく笑った。
そこにいるのは、何となく友人たちの面影を残した女性たちばかりだ。そして一様に苦笑している。
おなじみの派手な学ランの袖を捲って苦笑しているのは仗助で、その隣で落ち着かないとばかりに髪を触っているのが億泰。
不機嫌そうに長い足を持て余しているのはアバッキオで、お腹が冷えるといけないから!とジョルノに心配されているのはミスタだろうか。
そして、彼女らの中心で腕を組んで仁王立ちし、僕と視線をあわせようとしないのは。
「嘘だろ、承太郎?」
「……やれやれ、だ」
たっぷり沈黙を挟んで、承太郎はいつものように帽子のつばをきゅっと握った。
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まだ5部読んでないのにアバッキオとミスタは受けだ!と思っていた。気が早い。
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