Trans/02

 
「相手は誰なんだ?それに君たちのスタンドは?体に異常とか…」
「スタンドは出せるが、能力は落ちてると考えてもらっていい」
いつもの低くて耳に残るような声ではなく、少し高めの声の承太郎はやっぱり違和感がある。
真剣な目付きも、指で唇をおさえるくせも、深い緑の目も変わっていない。
「…実は、スタンド使い自体はもうのしたんだ」
「えっ?じゃあ、何で…」
「それがでスね!スタンド使いが解除の命令を出さないと戻らないんスよっ」
仗助がぷりぷりしている。恐らくのしたのは仗助なんだろう。
「…今、意識不明の重体で入院してるよ」
「君のクレイジーダイヤモンドで治せるんじゃないか?」
「…怪我は治せても、意識はどうにもできねッス…」
しゅん、と肩を落とす。昨日から同じことを何度も言われているのかもしれない。
「そうか…じゃあ、しばらくこのままってことかい?」
「そうッス」
頷きもせず、返事も返さない沈黙を守る承太郎の代わりに仗助が力強く答えた。
「なぁー仗助よぉ」
億泰もまた、不安げだ。少し顔色が悪い。考えてすぎて熱が出たのかもしれない。
「結局よぉ、俺らどうすんだよぉ」
「このまま生活するしかねぇだろ…」
二人とも顔を見合わせて、小首を傾げた。生活するって、何がどう変わるのか想像出来ないんだろう。
「ああもうっ!いっそのことそのスタンド使いやっちまえばいいじゃねぇか!」
声をあらげるのは散々ジョルノに遊ばれていたミスタだ。今はジョルノお手製の腹巻きなんかつけている。
「ダメです、ミスタ!」
「何でだよ!」
「もし、そのスタンド使いが死んでも元に戻らなかったらどうするんです?」
ジョルノは切々と、どんなに危険かを訴える。ミスタは返事につまって、ただ唸る。
「それともミスタは一生女性で過ごしたいんですか?」
「それは勘弁してくれ…」
両手を上げて降参のポーズをとると、帽子をかぶり直してアバッキオに向かっていく。
女性になってひとまわり小さくなったからか、帽子が大きいようだ。アバッキオも同様に、だぶつく服の裾をまとめている。
「生活用品がいるね…」
「そうですね…ここは援助を求めましょうか」
「誰にッスか?」
「仗助、君のお父さんとか」
にこりと涼しい笑顔でジョルノは言い放つ。仗助が固まるのと同時に、承太郎が目をくわっと開かせた。
「本気か」
「ええ」
ジョルノもひく様子はない。仗助は一瞬うろたえたが、覚悟を決めたのか携帯電話を手にする。
「…もしもし?俺ッス、仗助…ちょっとその、頼みてぇことがあるから…学校まで来れないッスか?」
 

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携帯で打ってたのでひとつひとつの文章が短い…。