清しこの夜
―花京院と承太郎の場合。
「ほら承太郎見て!あれ、すごいね」
「…眩しいだけだろ」
「すごいなあ」
街の中は眩しいくらいのイルミネーション、そして、人、人、人!まあ、僕は幽霊だから関係ないけど。
小さい子はたまに見えるらしくて、目が合う。手を振るとにっこり笑ってくれる子は、いい子だ。気持ちが優しくなる。
「で、承太郎は何でこんなところに来たの?」
「待ち合わせだ」
アメリカにわたった承太郎が日本に戻ってきた。杜王町。ま、僕には関係ないけど。どこにだっていけるから。
で、その杜王町の近くのS市の駅前で承太郎はぼーっと立っている。気が向いたから、現れてみた。
承太郎は特に驚かなかった。年を重ねるというのは、こういうことなのかなと少し思った。僕は年をとらない。眺めるだけ。
「いいなー僕も承太郎とクリスマスデートしてみたいよ」
「来年だって出来るだろ」
承太郎は僕の姿が見えるのに振り返らない。目の前を通り過ぎていく親子を見送った。娘を思い出したのかもしれない。ほんの少し。
「来年、ここにはいないだろう?」
「どこにだってついてくるだろうが」
少し怒ったような口ぶりだ。何か気に障ることをしてしまったかな。わからない。
「また来るよ」
今度は僕が背中を向けた。タイムリミット。自分で決めていた制限。これ以上一緒にいても、しょうがないってわかっている。
→
「ほら承太郎見て!あれ、すごいね」
「…眩しいだけだろ」
「すごいなあ」
街の中は眩しいくらいのイルミネーション、そして、人、人、人!まあ、僕は幽霊だから関係ないけど。
小さい子はたまに見えるらしくて、目が合う。手を振るとにっこり笑ってくれる子は、いい子だ。気持ちが優しくなる。
「で、承太郎は何でこんなところに来たの?」
「待ち合わせだ」
アメリカにわたった承太郎が日本に戻ってきた。杜王町。ま、僕には関係ないけど。どこにだっていけるから。
で、その杜王町の近くのS市の駅前で承太郎はぼーっと立っている。気が向いたから、現れてみた。
承太郎は特に驚かなかった。年を重ねるというのは、こういうことなのかなと少し思った。僕は年をとらない。眺めるだけ。
「いいなー僕も承太郎とクリスマスデートしてみたいよ」
「来年だって出来るだろ」
承太郎は僕の姿が見えるのに振り返らない。目の前を通り過ぎていく親子を見送った。娘を思い出したのかもしれない。ほんの少し。
「来年、ここにはいないだろう?」
「どこにだってついてくるだろうが」
少し怒ったような口ぶりだ。何か気に障ることをしてしまったかな。わからない。
「また来るよ」
今度は僕が背中を向けた。タイムリミット。自分で決めていた制限。これ以上一緒にいても、しょうがないってわかっている。
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